俺の彼女がドルヲタだなんて知らなかったんです!?
「美和のそのスタンスだと、俺の人生に関わるよ!?」
「嫌なら別れるしかないよ...」
「ぜってぇぇぇ別れねぇけど!!!」
「本当...?」
「今までの流れの中で一瞬たりとも別れというフレーズが浮かばなかったから、絶対に別れることはない!!」
ヲタクだろうがなんだろうが、彼女は彼女だ!!
この気持ちに変わりはないっ!!
美和は嬉しそうに笑うと、頭のハチマキを外し、俺に渡してきた。
ん???
これは???
「これからも一緒にライブ来てね?」
「...これ付けなくていいなら」
「えー。付けてほしいなぁ...?」
「......はぁ。分かった」
何が悲しくて、自分そっくり(らしい)男に愛のエールを送らなきゃいけないんだ...。
断れない頼み方をする美和も案外、魔性の女?
なんてな。
さてと、帰って寝るか...。
「ねぇねぇ、柊真」
「んー......ん?」
呼び方がいつもと違う。
そう思って振り返った瞬間。
柔らかい感触が、俺の頬をかすめた。
「ほっぺなら、あげてもいいよ?」
間抜けな顔で呆ける俺に向かって、いたずらっぽい顔で笑う美和。
SHUN様パーカーを夏の風にはためかせながら歩いていく。