ご飯は皆が揃ったら。


そんなわけで、この高校に通う生徒はよほどのことが無い限り、エスカレーター式でそれぞれの学科へ進学するという。

大まかに分けて文系、理系、体育に美術といった専門史から福祉や農業・・・
あら、これだけ幅広い分野なのに家政科がない。

だからあたしの記憶からすぐに抜け落ちてたんだろうと納得しつつ、なかなか終わりの見えない敷地の横を走りゆく。

好きなことを学んでいるからか、ときどき見かける大学生の子たちは皆、生き生きとした表情で歩いている。
学生にありがちな、単位を落としかけて嘆いたり休講で喜びそうな雰囲気は微塵もない。
あたしも、仕事が軌道に乗ってる時はこんな風に毎日背筋伸ばしてたよな、なんて。

やがて、学校の前を通り過ぎ車だと3分ほど真っ直ぐ進んだ先に、寮の看板が見えてきた。

うわー、何これレンガ造りじゃないのよ。
環くんこんなメルヘンなおうちに住んでたわけ?

何とも立派でお洒落な建物だけど、寮というよりペンションみたい。
お金かかってるなあと私立のすごさを思い知る。

確か環くんの話だと、現在入寮している生徒は合計で12人。
割合はうろ覚えだけど、高校生の方が多いと言っていた。
学生の頃からこんな良いとこに住んじゃって、価値観は大丈夫なのか?

なんだかなあと思いながら、可愛い花がそよぐ花壇を越え、手前にある駐車場に車を停める。


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