ご飯は皆が揃ったら。
「ふざけんじゃないわよクソ上司!無能野郎!なんであたしだけがあんたたちの失敗を被って辞表書かされなきゃなんないのよ!」
ガン、とそばにあったゴミ箱を蹴飛ばせば、ひゅう、と口笛を吹いて見下した目で見てくる通りすがりの奴ら。
構わず叫ぶあたし。泣きそうな顔で止めに入る友人たち。
「塔子、ちょっと落ち着いて!気持ちはわかるけど、物に当たって怪我したら・・」
「別にあたしなんか怪我したって死んだって誰も困らないわよ、ああしいていうなら先月契約した車のディーラーさんかなあ!
ローン始まったばっかで車ごといなくなればねー!」
「やばい違う方までいっちゃった、もうタクシー詰め込んで帰らそう!」
泣きながら高笑いをするあたしにお手上げ状態でタクシーを拾う友人。
こんな状態でもうっすらと今の自分を客観視するあたしが、お前友達も失ったんじゃないかと呆れている。
酒に弱いわけじゃないから、この狼藉は明日の朝全て蘇り、自己嫌悪でまた泣くのだろう。
ああもう最悪。
最悪のループ。
確かに甘い考えだったかもしれない。きっとやり直せるなんて、夢を見過ぎたかもしれない。
でもあたしは、あの2人のミスを受け止めて、最善の処理をしようと思った。
真摯を尽くして、失敗を取り返そうとした。
2人がそんなあたしを偽善者扱いしたって、結果オーライならそれで良かった。
なのに現実は、不正の見過ごしはあたしの管理不足ということになっていて。
険しい顔の社長を見た途端に責任転嫁の術を覚えたらしい2人が、口々とあたしを責めたて亡き者へとさせる。