ご飯は皆が揃ったら。



浮かぶ選択肢が一向にしっくり来ない。
だって全部あたしらしくない。
そんなこと出来ないし、やってる自分の想像すらつかない。

駄目だ。
どんなに考えたってもうダメ。後の祭り。
だってここに、あたしの居場所はもうないのだから。

「実家帰ろ」

現実的に考えて、車のローンあるし。
都会のマンション暮らしなんてしてる場合じゃない。

そう決めたら早かった。

「クビみたいでーす」と親に連絡し、荷物をまとめ、部屋を引き払う。
丁度月末で良かったとすら思いながら。

悲劇のヒロインになれるのは失恋の時まで。
金銭と生活が関わっていく以上、泣き続けるのは死に繋がる。
そう気づいた時こそ、次への行動を起こすべきだ。

・・・こういう割り切りの早さが、可愛げのない証拠だとしても。




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