Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
あまりに切なくて、見ていられなくて、私は思わず声をかけた。
「ねぇ、歩」
「......あぁ、何?」
「ま...真浩が、売店行くんだって。歩も行くでしょ?」
「...行く」
いつもの顔で私の横を通り過ぎていく歩。
すれ違いざまに、こう言った。
「...本人に言ったら、殺すからな」
本人...とは、きっと、零羅さん。
彼女は無邪気で鈍感だから、きっと気付いてないんだと思う。
自分に向けられる、2人目の好意に。
歩は『このまま』を望んでる。
零羅さん本人に知られず、密かに想い続けることを望んでるなら...。
「...言わないよ」
「なら、いいけど」
てか、言えるわけないじゃん...。
私なんかが足を踏み入れていいような、そんな軽い想いじゃないもん。