Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
ふぅ...。
蓮央のおかげで絡まれることはなかった。
良かった。
けど、肝心の蓮央は大丈夫なのかな。
あの程度のヤンキーたちにやられることはないと思うけど...。
ヘルメットをとって靴を履き替えていると、無人のはずの生徒玄関に足音が響いてきた。
私から少し離れたところで、それは止まる。
「あれ?もしかして...本田?」
...げっ。
この声は、一番会いたくないアイツ...。
無視しよう。
コイツだけには関わりたくない。
聞こえないふりをして立ち去ろうとすると、肩を掴まれて振り向かされた。
そいつが身につけているブレスレットが、シャラリと音を立てる。
「あ、やっぱそうじゃん。裏切り者の、本田咲誇サンだ」
そう言って笑うのは...二階堂弘樹。
【桜蘭】の情報屋。
黒髪に紫のメッシュを入れていて、何となくチャラチャラした雰囲気の男だ。
私は、コイツが苦手。
とても頭が切れて、そのくせ何を考えているのか分からない。
翠斗の親友でもある二階堂は、私の中で危険度ナンバーワンの男だった。