Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
ゲームに集中していたはずの彼は、いつの間にかヘッドホンを外してこっちを見ていた。
「俺は今、機嫌が悪いんだよ。邪魔だからさっさと出てけ、部外者」
「はぁ!?ふざけんな、テメェ。俺らが誰か分かって言ってんのか?」
「知るか。どうでもいいから失せろ」
ひょうひょうとした態度の歩にキレた男たちは、ぐるりと彼を取り囲んだ。
それをダルそうな目で見あげる歩。
私の代わりに歩が絡まれちゃったよ...。
コイツらと一緒にいるのが嫌だったのかな。
一人の男が、地面に置かれていた歩のゲーム機を踏みつけた。
バキッ...と嫌な音がした。
「ナメた口聞いてんじゃねーよ。俺らは世界で一番の【桜蘭】なんだぞ?」
「......」
「なんか言うことねーのか?なぁ?」
「......」
「はっ、ビビって声も出ねぇってか?」
...いや、違う。
歩が黙っているのは、怖いからじゃない。
これ、なんか既視感がある。
交流遠足のときの、真浩。
あのときの彼と同じオーラを、歩から感じるんだけど...。
ひ、避難しよっかな...。
抜き足差し足、1歩踏み出した瞬間だった。