Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
蓮央は私から少し目をそらして、なぜか気まずそうに笑った。
「...あー、悪い。部屋間違えた」
「別に大丈夫だけど...。
ってか、蓮央なんか酒臭くない?」
「ん?あぁ、やっぱ分かる?」
分かる?って...。
めちゃくちゃ酒臭いよ。
この距離でも分かるくらいだし。
寝ぼけたんじゃなくて、酔っ払ってたのか。
「まさかこんな時間まで飲んでたの?」
「...まぁな。なんか頭グラグラする」
「え、それまずいやつじゃん。水持ってこようか?」
「いや、いい...。このくらい平気」
そう言う蓮央は、本当に頭が痛いみたいで。
額を押さえてベッドに座り込んでいる。
大丈夫、かな...。
二日酔いにならなきゃいいけど...。
蓮央はいらないって言ってたけど、一応持ってきたほうがいいかも。
そう思い、ベッドから出て立ち上がると、腕を蓮央に掴まれた。
その力は、すごく強くて。
まるで...何かを逃がさないように、必死で止めているような感じだった。
「蓮央?どうしたの?」
「...行くな」
「え?」
「頼むから、行くな...」
蓮央の声が震えている。
今にも泣きそうな声で言われたその言葉は、私を動揺させるには充分で。
冗談めかして振り払える雰囲気なんかじゃなかった。