Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
新しく買った私服に着替え、蓮央からもらった合鍵を手にして外に出ると、彼のバイクはなかった。
何をしにどこへ行くのか...なんて、気にしても意味がない。
足がないので、歩いて【睡蓮】の倉庫に向かうことにした。
いつも通っている道だから迷うことはないと思う。
多分...歩いて30分くらいかな?
気分転換がてら、のんびり川沿いを歩いていこう...。
頭の上には、澄んだ青い空。
でもそれを見ないようにして歩く。
どうしても、彼を連想してしまうから。
...そういえば、倉庫に蓮央がいたらどうしよう。
いや、でもまだ朝早いし...。
それに私を置いていくくらいだし、倉庫には行ってないと思う。
どこか別の場所に行ったんだよね、うん。
それを願いながら川沿いの堤防を歩いていると、後ろからバイクの音が聞こえてきた。
一瞬蓮央かと思ったけど、この音は違う...。
暴走族仕様に改造された、族車の音だ。
それは私を追い越したあと、ゆっくり停止した。
大きな単車に乗った男が振り返って、赤いヘルメットをとった。
プラチナブロンドのオールバックがあらわになる。
耳にはピアスがたくさん。
その整った顔立ちは、さぞかし女の子たちに騒がれることだろう。
だけど私は興味ない。
「...よぅ。おねーさん、一人?」
「...見れば分かるでしょ」
「ははっ、確かに。
こんな朝から何してんの?暇なら俺と遊ばない?」
...ヘッタクソなナンパ。
諒真さんのほうが数百倍マシだ。