Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
そう訴えると、蓮央はコクリと頷いて。
しずかに話し始めた。
「諒真の父親の仕事は、俺ら一般人とは全く違ったものだ」
「それって...芸能人とか?」
「そういう意味じゃない。本当に、住む世界が違う人間だ」
...?
異世界から来たってこと?
ファンタジー?
魔法の国の王子様...みたいな?
なわけないよね。
さっぱり意味かわからない。
でも、そんな私とは対照的に、蓮央は深刻な顔をして続けた。
「警察の目をかいくぐって罪を犯し、裏社会のボスとして大金を得る。自らは決して手を下さない。金のためならどんな悪どいことでもやる、極悪人...。
それがアイツの親父の仕事」
「っ...、それって、もしかして...!?」
「ヤクザの組長。
...正確には、『若沢組』の組長だ」
グラリ、と目の前が揺れた気がした。
衝撃的すぎて頭がついて行かない。
諒真さんが...ヤクザの組長の息子だなんて。
そんなの予想もしなかった。
しかも、よりによって若沢組...。
若沢組は、世界でトップ5に入るほどの力を持つマフィア団体戦のひとつ。
クスリ、密輸、殺しなど、ありとあらゆる犯罪を行動に移すとされる、極悪非道なヤクザの集まりだ。
諒真さんは、そこの若頭...。
「諒真の親父は、諒真を自分の跡継ぎにさせようとしてる。それが嫌でアイツは家から逃げ出し、人目を忍んで暮らしてるんだ」
「...そうだったんだ」
「けど、諒真が仲間になってしばらくしたある日、俺のところに若沢組の男が来てさ。『諒真の居場所を言え』って言われて。
何も知らなかった俺は、諒真を問い詰めた」
「それで知ったってこと...?」
「あぁ。諦めた諒真が、みんなの前で一度だけ白状してくれた」
確かに、話したくないよね。
自分の父親がそんな仕事をしてるだなんて...私なら胸を張って言えない。
だから諒真さんはあんなことを言ったんだ。
それなのに私は無神経に聞いて...。