Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
「...あーあー、やってくれちゃったね〜」
ヘラヘラして楽しげな声が、教室に響く。
やっぱり、と思うのと、隣の歩が忽然と消えるのが同時だった。
バンッ!!と壁に叩きつけられた歩が、顔の前で腕をクロスしながら、忌々しげに二階堂を睨む。
その男は、私の隣に足を振りかざして立っていた。
「へぇ...。俺の蹴りを防ぐなんて、さすが【睡蓮】の幹部だな。顔面にヒットしてりゃ、そのキレーなツラを潰せたのに」
「アンタが潰しに来たのは俺の顔じゃねぇだろーが」
「それは言えてんな。
ま、その体力だと簡単にいけそうだけど」
「...作戦通りに進んで満足かよ?」
「んー、まぁな。
けど、こんなに早く倒すのは予想外だった。もう少し体力削って欲しかったわ」
倒れている男たちを一蹴した二階堂は、次は私の方を見た。
凍りつきそうなほどに冷たい瞳。
...でも私は怯まない。
もう、怖くなんてない。
睨み返すと、二階堂は口元を歪ませた。
「...翠斗の次はコイツってワケか?」
「はぁ?そんなわけないでしょ?」
「裏切った足で【桜蘭】のライバルチームの幹部に取り入るなんて、さすがお前だな。
やることなすこと、性根腐ってやがんの」
「...好きに思えば?
私、歩とはそういう関係じゃないから」
「それが嘘だろうが本当だろうが関係ない。
お前らは俺がここで潰してやるよ」
「やれるもんならやってみれば?」
...とは言ったものの。
内心、焦りでいっぱい。
二階堂は翠斗の次に喧嘩が強い。
翠斗は本当に怪物みたいな強さで、誰も敵わなくて。
そんな彼が唯一、自分の相棒として認めたのが、二階堂だった。
さっきだって目にも留まらぬ速さで歩を蹴り飛ばしたし、本気を出したらもっと強い。
私がやって勝てるかどうか...わからない。