Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
──ガッ...!!
殴られた音がした。
でも、不思議と痛みがない。
その代わりに、私の手を掴んでいたはずの二階堂の手が離れた。
いったい、何が起こったの...?
反射的につぶっていた目をゆっくりと開くと。
...歩が、右腕をかばいながら私の前に立っていた。
その前には二階堂がいる。
口元に滲んだ血を袖で拭い、目を光らせながら歩に目線を向けた。
「すげぇな、お前。その腕使えんのか。
マジでさ、クッソ痛くねぇ?」
「...別に」
「そう?
けど、そのまま使い続けるとヒビ入るぞ」
「なら次でお前を仕留める」
「っ...ははっ!!すげぇ、マジですげぇ!!
ここで潰すには惜しすぎる人材だな」
「勝手に言ってろ」
歩はそこまで痛そうな素振りを見せないけど、本当は激痛が走ってるに違いない。
二階堂の蹴りを受けた腕を酷使するなんて、無茶にもほどがある。
あと1回でも使えば、本当に腕が折れるかもしれない。
「歩、やめて!!私がやるから!!」
「アンタが自らを危険にさらす必要はない。
俺が...あと10分持てばいい話だ」
「...?」
10分?
なんでそうなるの?
囁くように言われたその言葉に首を傾げている間に、二階堂は歩に殴りかかった。