Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
マンションにつくと、手を引かれてリビングに連れていかれた。
白いソファーに並んで座る。
明るいライトに照らし出された私を見て、蓮央は悲痛そうに眉を寄せた。
「咲誇...お前、首が...」
首?
...あ、二階堂に絞められたやつが、アザになってるのかな。
結構な力で掴まれたもんね。
「蓮央、私は大丈夫だよ?
真浩が来てくれたおかげで危機一髪...」
「...アイツに何を言われた?」
「え?」
「首を絞められても抵抗出来なかったんだろ?あの男...二階堂とかいう奴に、何か言われたからなのか?」
...『お前は生きる価値なんてねぇよ』
その言葉を思い出すだけで、抉られるように胸が痛む。
こんなの言われ慣れてたはずなのに、いつまで経っても心は慣れてくれなくて、泣きそうになる。
でも、それを口に出したことはない。
存在を否定されたて傷ついたことも、裏切り者というレッテルを貼られて悲しかったことも。
自分が惨めになりそうな気がして、どうしても言えなかった。
それなのに...どうして蓮央には、いつも分かるんだろう。
私、必死で隠してるのに。
彼には全部、お見通し...。
どうしようもない感情が湧き上がって、涙がまたこぼれた。
「ごめん...。私、やっぱり弱いんだ。
歩が戦ってくれてたのに、私は何も出来なかった...」
悔しい。
何で、こんなにも弱いんだろう。
二階堂なんか、翠斗なんか、大嫌いって思ってる。
絶対に許さない、あんな奴ら消えてしまえって思ってる...はずなのに。
いざ彼らを目の前にすると、傷つけることへの抵抗が生まれる。
あの時の楽しい日々が思い返されて、どうしても本気で殴れなくなる。
私は弱い...。
こんなになっても思い出を捨てきれない私は、どうしようもない弱虫。