Am I What Colors?ー元姫の復讐ー〈リメイク版〉
──ドクン、ドクン、ドクン
聞こえるのは私の鼓動だけ。
何かを言わなきゃと思っても、乾いた喉がそれを邪魔する。
やっとの思いで出たのは、たった一言。
「...ちが、う...」
「...本当にお前なんだな」
か細いその声が言い訳だと思われたのか、翠斗が確信したように言う。
奈緒を庇うようにして、氷のように冷たい目で私を睨みつけた。
「...仲間を虐めるなんて、どうかしてる」
翠斗、違うよ。
これは何かの間違い。
私は奈緒をいじめたりなんかしてない。
そう言いたいのに。
早鐘のように打つ鼓動が、私の喉を押さえつける。
「ここの姫だったお前なら、仲間を裏切った奴がどうなるか...分かるよな」
「あき、と...本当に、違うの...!」
「黙れ。お前はもう...仲間じゃない」
嫌だ。
やめて、翠斗。
その先を言わないで。
私の話を聞いてよ...。
お願いだから──...
そんな私の願いも虚しく、翠斗は私の目も見ずに言った。
「...裏切り者は消えろ」