すっぴん恋愛【バレンタインデー】
呆然とする雪菜の肩を叩いてから、隣に立ったのは雪菜に振られた速水。

速水も竜哉に負けないくらいモテる。その証拠に彼は両手にチョコの入った袋を持っていた。

速水の所属する営業課からここまで来る間に渡されたものだ。

爽やかな笑顔で「ありがとう」と受け取っていた。


「雪菜ちゃんが彼女だと知っていても、バレンタインは別なんだろうね。義理チョコだと言って差し出しているけど、本命チョコもありそうだよね」


振られてもまだ雪菜のことを諦めきれない速水は余計なことを言って、雪菜を不安にさせる。

雪菜は何も答えないで、ただ竜哉を見ていた。まだ誰からのも受け取ってはいないが、どうするのかと気になっている。


「雪菜ちゃんは笹木だけにあげるの?」

「あ、義理チョコですが、一応速水さんにもありますよ。ちょっと待ってくださいね」


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