すっぴん恋愛【バレンタインデー】
竜哉の背後にはたくさんの女性社員が並ぶ。竜哉が雪菜のもとに移動してきたから、そのあとをつけてきたのだ。

竜哉は小さくため息をついて、体を後ろに向けた。

声を掛けてきた女性はほんのり頬を赤くして、竜哉を見上げる。


「義理だろうがなんだろうが、いりません。申し訳ないけど、彼女以外からは一切受け取らないのでお持ち帰りください。他のみなさんも同様です」


キッパリと断った。

そして、雪菜の腕を掴んでフロアを出る。


「ちょっと、竜哉。竜哉ったら」

「なんだよ」

「どこに行くの?」

「二人だけになりたい」


早足で歩く竜哉に引っ張られながらも雪菜も足を進ませた。

二人だけになれるところ……で、選んだのは誰もいないミーティング室。

就業時間前だから多分誰も来ない。
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