これは倫子ちゃんと龍之助くんのはなし2
バレンタイン
昨日は倫子と喧嘩した。
久しぶりにひとりで登校した朝、いつもより周りが浮き足立っている気がする今日。
よりにもよってこんな時期に喧嘩しなくてもいいのに。
自分の勝手さに叱咤して、それでもごめんと言えないまま、学校へ着いて下駄箱の扉を開けた。
「!・・・チョコだ!」
上履きの上に見慣れないものが乗っていた。
倫子からのチョコだと飛びついた矢先に目に入る文字。
“杉山くんへ”
「杉山の下駄箱オレのうえ!」
律儀に入れ直してやるとともに、腹正しさに勢いよくドアを閉めてやった。
ひと時の喜びを返して欲しい。
「なんや、龍ちゃんは俺のこと好きやったん?」
いつの間にか後ろに立っていた杉山がオレに影を落とした。
いわゆる壁ドンってやつだ。
「でも堪忍なぁ。オレそっちの趣味はないねん」
「オレもねーよ!!つーか龍ちゃん呼ぶな!」
傍から見たら壁ドンというより恐喝に見える身長差に腹正しくて下から睨みつけた。
受験だからと染めた黒髪が龍之介をより幼くみせて余計に小さく見える。
「冗談やんか。・・・そないに睨まんと、別に身長差で下駄箱の位置決まったんちゃうで?名前順なんやから気にせんと、な」
「・・・んなこと思ってねぇよ!」
あいさつのように身長差をいじられた。
久しぶりにひとりで登校した朝、いつもより周りが浮き足立っている気がする今日。
よりにもよってこんな時期に喧嘩しなくてもいいのに。
自分の勝手さに叱咤して、それでもごめんと言えないまま、学校へ着いて下駄箱の扉を開けた。
「!・・・チョコだ!」
上履きの上に見慣れないものが乗っていた。
倫子からのチョコだと飛びついた矢先に目に入る文字。
“杉山くんへ”
「杉山の下駄箱オレのうえ!」
律儀に入れ直してやるとともに、腹正しさに勢いよくドアを閉めてやった。
ひと時の喜びを返して欲しい。
「なんや、龍ちゃんは俺のこと好きやったん?」
いつの間にか後ろに立っていた杉山がオレに影を落とした。
いわゆる壁ドンってやつだ。
「でも堪忍なぁ。オレそっちの趣味はないねん」
「オレもねーよ!!つーか龍ちゃん呼ぶな!」
傍から見たら壁ドンというより恐喝に見える身長差に腹正しくて下から睨みつけた。
受験だからと染めた黒髪が龍之介をより幼くみせて余計に小さく見える。
「冗談やんか。・・・そないに睨まんと、別に身長差で下駄箱の位置決まったんちゃうで?名前順なんやから気にせんと、な」
「・・・んなこと思ってねぇよ!」
あいさつのように身長差をいじられた。