たった一つの勘違いなら。
「なに?今さら俺の魅力に気づいちゃった?悪いな、その気持ちには答えられない」

「残念」

わかりやすく浮かれてるよねぇと笑ってしまう。

「……橋本って確かに変わったよなぁ」

向かいの席からじろじろ見られる。全般的に無頓着な高橋くんに言われるほどの変化があったかな。

「そう?」

「前はこういうこと言うと汚いものでも見る目だったのにさ、なんか微笑んでるし。好きな奴がいるって感じ?彼氏?」

「どうかな」

「なー、もしかしてだけどさぁ、西山?」

「どうかな」

当たらずとも遠からず、かなぁ。

「俺協力しようか?」

「絶対いらない。かなり迷惑」

「もうちょっと言い方あるだろう、ほんとお前らキツイよな」

お前ら、ね。よかったねぇと確かに見る目は暖かくなる。でも協力とか余計な詮索とかほんとに結構です。



< 106 / 179 >

この作品をシェア

pagetop