たった一つの勘違いなら。
「大事すぎてどうにもできないって感じだったけど、無事に結婚までこぎつけて安心したよ。ようやく手を出されましたか」
「おい、俺がいつそんな」
「いえ、私からお願いしたので」
と言ってしまってから、いや、これはなんか生々しいかもと赤くなった。緊張でちょっとおかしくなっている。
一瞬の間の後、お父様は楽しそうに笑ってくださった。あっはっは、と心底楽しそうな明るい笑い方だった。
似てる。身体を折るようにして笑うところもそっくり。
「どこがいいですか、うちの息子は」
「ずるくて、結構自分勝手で、強引なんですけど」
この際、と思って真吾さんをちらりと見ながら言ってみる。
「そういうのが全部どうでもよくなっちゃうくらい優しいです」
「そうですか、それはよかった。真吾、お前尻に敷かれそうだなぁ」
はっはっはとまた笑う。あれ、そういう受け止め方? いいように振り回されてると言ったのに。
「義兄さんはまだうるさいかもしれないけれど、私は君たちの味方ですよ。息子なんだから当たり前だけどね」
「あっちにもいろいろ協力してるし大丈夫だよ」
「まあ出世に失敗したらこっちに来いよ。うちは本社関係は誰も関わらせてないから」
適度な距離感があり、でも基本的に仲がよい親子関係がよくわかる2人だった。
「おい、俺がいつそんな」
「いえ、私からお願いしたので」
と言ってしまってから、いや、これはなんか生々しいかもと赤くなった。緊張でちょっとおかしくなっている。
一瞬の間の後、お父様は楽しそうに笑ってくださった。あっはっは、と心底楽しそうな明るい笑い方だった。
似てる。身体を折るようにして笑うところもそっくり。
「どこがいいですか、うちの息子は」
「ずるくて、結構自分勝手で、強引なんですけど」
この際、と思って真吾さんをちらりと見ながら言ってみる。
「そういうのが全部どうでもよくなっちゃうくらい優しいです」
「そうですか、それはよかった。真吾、お前尻に敷かれそうだなぁ」
はっはっはとまた笑う。あれ、そういう受け止め方? いいように振り回されてると言ったのに。
「義兄さんはまだうるさいかもしれないけれど、私は君たちの味方ですよ。息子なんだから当たり前だけどね」
「あっちにもいろいろ協力してるし大丈夫だよ」
「まあ出世に失敗したらこっちに来いよ。うちは本社関係は誰も関わらせてないから」
適度な距離感があり、でも基本的に仲がよい親子関係がよくわかる2人だった。