たった一つの勘違いなら。


テーブルに用意してあったピンチョスをつまみながら、とりあえずみんなソファ周りにゆったりと座る。

驚いてぼんやりしていたが、じわじわと嬉しくなってきた。おめでとうって祝ってもらえるって想像以上に嬉しい。

「詩織、指輪見せて!」と恵理花に手を取られ、「奈緒ちゃんも見て見て」と女3人集まって薬指の指輪を眺める。

「きれい。なんていう宝石ですか?」

「ピンクだけどダイヤなんだって。希少品らしいよ、さすが王子だよね」

「王子って言われてるんですか?うちでは貴公子って呼ばれてました」

きゃいきゃいと2人が盛り上がっている。

向こうでは、高橋意外と演技うまいな、あいつら俺をなめ過ぎなんですよ、俺もなめてたかもすみません、と男性達の会話も弾んでいる。

ちょっと思った感じと違ったけれど、楽しい日になりそうだった。


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