たった一つの勘違いなら。
興味本位。
的確な言葉を突きつけられた。
ああ、本当だ。
事情を知りもしないで、勝手に妄想して勝手に味方になりたいなんて。勘違いした大迷惑な人間だ。
「すみません」
すっと冷えた頭で慌てて頭を下げた。お店の中で不自然にならない程度に。
「よく知りもしないで出すぎたことを言ってすみませんでした」
「いや、ごめん、きつく言い過ぎたよ。ちょっと痛いところを突かれたからさ」
取りなすような富樫課長の態度に心が痛む。痛いところ。そうだ、きっとこんな通りがかりの社内女性なんかに指摘されたくないところ。
「本心を隠して軽い付き合いしかしてこなかったっていうのは、図星かもな」
笑いながら目だけは悲し気で。ほんの少しの本音が見えた気がした。
この人は美しいだけではなく、ちょっとした表情の変化だけで語ることができる。
「無礼なついでに言わせてください。興味本位だったかもしれませんが、でもそういうのは悲しいと思うんです」
「うん、そうだね。相手の気持ちを考えろとか言われるよ」
何かを諦めたような富樫課長は、もう私から目をそらしていた。聞く耳なんて持たないだろうし、本当に大きなお世話だろう。
でも、それでも言いたかった。