たった一つの勘違いなら。
そのまま西山さんと2人で向かい合って話すことになる。
気まずいような気がするが、彼の方は至って和やかな様子なので仕事に徹することにした。
取引のある九州の代理店がうちの製品を使って台湾企業とやり取りをしたがっているという話だった。
確かに取引金額は小さい話で、代理店経由でなくうちの会社と直接取引ならいいんだけど。
「一見小さな案件なんですが、ちょっとややこしいかもしれませんね」
「そうなんですか。どの辺りが」
「関係者が増えるとややこしくなることがあるので。そうとも限らないので勘に近いんですけど」
高橋くんが小さい案件と言い切っていたのが逆に気になる。担当者が適当な案件は要注意。
「そういう経験に基づく勘とかやっぱりあるんですね。橋本さんてずっと法務部なんですか? 高橋さんと同期なんですよね?」
西山さんて、なんていうか人懐こい人なんだなと思う。クールな見た目なのに話してみると人に警戒心を与えない。真吾さんのあの優しいのにつかみきれない感じとは真逆かも。
そこが2人の相性の良さなのかもしれないと気づくことは、単なる興味本位とは少し違う痛みなので許してほしいと思う。
気まずいような気がするが、彼の方は至って和やかな様子なので仕事に徹することにした。
取引のある九州の代理店がうちの製品を使って台湾企業とやり取りをしたがっているという話だった。
確かに取引金額は小さい話で、代理店経由でなくうちの会社と直接取引ならいいんだけど。
「一見小さな案件なんですが、ちょっとややこしいかもしれませんね」
「そうなんですか。どの辺りが」
「関係者が増えるとややこしくなることがあるので。そうとも限らないので勘に近いんですけど」
高橋くんが小さい案件と言い切っていたのが逆に気になる。担当者が適当な案件は要注意。
「そういう経験に基づく勘とかやっぱりあるんですね。橋本さんてずっと法務部なんですか? 高橋さんと同期なんですよね?」
西山さんて、なんていうか人懐こい人なんだなと思う。クールな見た目なのに話してみると人に警戒心を与えない。真吾さんのあの優しいのにつかみきれない感じとは真逆かも。
そこが2人の相性の良さなのかもしれないと気づくことは、単なる興味本位とは少し違う痛みなので許してほしいと思う。