たった一つの勘違いなら。
さっきの会話は、なんだったの?
カズくん。社内でなければ。今夜8時。
来るまで待ってる。
単にふざけているとか?飲みに行く話とか?でもあの独特の雰囲気。
そして私がいることを察したように「西山!」と上司らしく呼びつけたあの変わり身。
あの美しい御仁と、清潔感のある年下の男性。
尊い。いや、尊すぎる。
その日以来、今朝まで、私はずっと考えていた。これは私の妄想なのだろうか、いや、でもあの呼びかける声、あのため息。
その後お2人を偶然見かけることもなく(そんなに頻繁にお目にかかれるなら月曜朝を待ちわびたりはしない)、モヤモヤしつつ少し忘れかけていた。
でも今日のエレベーターで、確信を得てしまった。
あの距離感、あの雰囲気。
あの2人は恋人同士である。