たった一つの勘違いなら。
「心の声がダダ漏れです、高橋くん」
「わざとです、橋本さん」
「……ソリューションって、大変?」
「まあ浮かれてばかりではいられないというか。ここで活躍して見直されたいと言うか」
ふ、と声が出てしまった。同情して味方になろうと思ったのに斜め上に来られた。
「笑うとこじゃない」
ムッとしてにらんでくるが、高橋くんはさすがにちょっと恥ずかしそうでもある。
「まだ諦めてないの?」
「あいつは彼氏がいない。そして結婚したがっている。しかもターゲットは社内。ここまでの俺の認識は正しいか、橋本」
「私の知る限り、正しいね」
「俺は、ラストチャンスに賭ける」
「いいと思う。その気合いでこの仕事も頑張って」
肩入れするなと恵理花には言われた気がするけど、これは仕方ないタイミングでしょう。
エレベーターでの件以来、わざとなのかご飯に誘ってくれない恵理花なので最近の状況はよく知らないけど。
高橋くんと恵理花。似合うと思うんだけどなぁ。