君がどんなに振り向かなくても好きだよ
─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎……。
薄暗い中歩いて行くと終いには夜になっており、やっと着いたかと思えば…



「え"っ!?」



目の前に建っているのは、やけにでかい一軒家



「だから、ここが私の家。とにかく入って」



「あ、はい…」


門の中に入って一番目に入るのは広々とした庭の奥に外からでも見えた立派な家




「ここが庭。と言ってもあまりにも手入れしてないから冬や夜になると近所じゃあ幽霊屋敷とか言われてるぐらい」




「たしかに」


夜だからあまりあたりは見えないけどうっすらとは見える



なにも手入れをしていないからか、草はボーボー



たしかに昼間は、もう夏だから木々たちが豊かな緑色をしていて風に揺られてざわざわしていて少し落ち着くけど、冬となれば枯葉になり落ちていってなんだか不気味な屋敷になりそう




その庭を突き抜け、家の玄関である扉を智世ちゃんが開けて近くにある電気のスイッチをオンにすると



パッと明るい光がキュに目に飛び込んで少し目を細めた



けれどそれは一瞬で、すぐに景色が見える



「…。」



中は意外と綺麗なんだなぁ



俺はてっきり庭の手入れとかしてないから中もそうなのかと思ってたけどむちゃくちゃ綺麗じゃん



玄関から見えるのは一直線に伸びた廊下


なのに、小物とかがちょくちょく飾られている




そんな、オシャレなカフェとかそういうものじゃなくてシンプルなオシャレ



俺は案外嫌いではない



むしろこっちの方が落ち着く



「一応説明しておくけど、右の一番手前のドアがトイレね。そのもう1つ奥のドアは風呂場、でこの廊下の突き当たり、一番奥がリビングになってるから。あとこの廊下の左側に階段があるんだけど、そこを上がったら本しかない部屋になってるから、まぁ2階は本しかないけど、それで3階が寝室ね。って言ってもお客が止まるようにと思って2部屋あるからそのうちの一部屋は三国が使っていいよ。はい、以上。あとは好きに使ってくれていいから」




「あ、はい…」



すごいなぁ



用件だけ言って無理やり終わらせた感じ




「それでなんだけど…」



「ん?」



「早速取材、いいかな」


あれ?



なんか恥ずかしそうに見えるんだけど



まぁ、いいや



「いいよ。」



居候させてもらってる身なんだし



わがままばっかり入ってられないしな



「あ、ありがとう…。」



「っ…。」



やっぱり恥ずかしいんだ



たしかに改まって取材させてってなんかちょっと照れる



でも、やっぱり花屋の智世ちゃんだ




いつもより性格は尖ってるけど、肝心なところは変わってない




恥ずかしいこととか間違えたこと、なれないことになるといつも顔が真っ赤になる



今もそう



顔真っ赤



やっぱり可愛いなぁ








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