ココロノコエ
ココロノコエ
私は学校が嫌いだ。
でも私は学校に行くのをやめない。
行かなくなったら、その時点で負けてしまう気がするからだ。
今日も始業の予鈴が鳴る10分前に校舎に入った。
異変に気付いたのは上靴に履き替えてすぐのことだった。
グチャ……
ぬれていた。
いや、浸っていたという方が正しい。
私は仕方なくスリッパを借りて教室に向かう。
「あれ~? 水島さん、なんでスリッパなのかな~?」
案の定彼女たちは教室の入り口の前にたむろしていた。
私は無視して通り過ぎようとした。
「おい、何無視ってんだよ」
無理だった。
所詮私は彼女たちからは逃げられない。
恐怖で顔がひきつる。
「答えろよ、なんでスリッパなんだって聞いてんだよ」
「う、上靴が……、ぬれてた、から……」
しどろもどろに言葉を吐き出すと彼女たちは高らかに笑い出した。
「ねぇ聞いた? 上靴がぬれてたんだって~」
「誰がやったんだろうね~」
お前等がやったんだろ、と言いたくなったけど、
もし言ってしまったら今以上に恐ろしいことが待っていそうだった
。
「あんたさっきから何でそんなトコに突っ立ってんだよ。
目障りだから消えろ」
彼女たちは私にだけ聞こえるような声で言うと、教室に入っていった。
予鈴が少しして鳴ったけれど、足は動いてくれなかった。
こんなの、いつものコトなのに……。
終
でも私は学校に行くのをやめない。
行かなくなったら、その時点で負けてしまう気がするからだ。
今日も始業の予鈴が鳴る10分前に校舎に入った。
異変に気付いたのは上靴に履き替えてすぐのことだった。
グチャ……
ぬれていた。
いや、浸っていたという方が正しい。
私は仕方なくスリッパを借りて教室に向かう。
「あれ~? 水島さん、なんでスリッパなのかな~?」
案の定彼女たちは教室の入り口の前にたむろしていた。
私は無視して通り過ぎようとした。
「おい、何無視ってんだよ」
無理だった。
所詮私は彼女たちからは逃げられない。
恐怖で顔がひきつる。
「答えろよ、なんでスリッパなんだって聞いてんだよ」
「う、上靴が……、ぬれてた、から……」
しどろもどろに言葉を吐き出すと彼女たちは高らかに笑い出した。
「ねぇ聞いた? 上靴がぬれてたんだって~」
「誰がやったんだろうね~」
お前等がやったんだろ、と言いたくなったけど、
もし言ってしまったら今以上に恐ろしいことが待っていそうだった
。
「あんたさっきから何でそんなトコに突っ立ってんだよ。
目障りだから消えろ」
彼女たちは私にだけ聞こえるような声で言うと、教室に入っていった。
予鈴が少しして鳴ったけれど、足は動いてくれなかった。
こんなの、いつものコトなのに……。
終
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