南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
信じる気持ち、ときどき嫉妬
「大丈夫?」
「……大丈夫じゃ、ない。けど大丈夫」
グッと唇をかみ締めてみるけれど、目頭にじんわりと涙が浮かんでくる。
「大丈夫」を必要以上に繰り返す私に、日勤終わりの茉央ちゃんは困り顔。
だけど、そう自分に言い聞かせないと、自分の存在意義すら見失いそうで。
看護師は体力仕事だし、精神的疲労も他と比べて多いだろうに……こうして時間を見つけては私に付き合ってくれる茉央ちゃんは天使でしかない。
「……あれから、1度も連絡ないの?」
「うん」
「じゃあ、もう1ヶ月近く、会わないましてや連絡すら取ってないわけだ」
茉央ちゃんの言葉に力なく頷けば、ブルーな気持ちに拍車がかかる。
そう。
瀬那から、【しばらく、距離置こう】というメッセージが届いたあの日、私は泣いた。
声が枯れるくらい泣いた。
だけど、いくら泣いたところで現実が変わってくれることはなくて。
私は物分りがいいフリをして、気づいた時には震える指で【わかった】って返信してた。
それが、瀬那との最後の記憶。
あれからもうすぐ1ヶ月。10月になった今、すっかり紅葉も進み、綺麗なグラデーションが並木道を彩っている。