南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
「な、泣いてない!」
「嘘つけ〜。おい、こっち向けよ」
強気に言い返してみるけれど、瀧は全く諦めない。
私の手をグイッと引っ張って、至近距離から覗き込む。
「ほら、涙の跡……って、近いっつーの!」
「はぁ?今のは瀧が引っ張ったからでしょ?」
自分でやっときながら、なんという理不尽。
心做しか少しだけ頬をほめて照れているらしい瀧に、つられて私も少し挙動不審になる。
「で、2人はどういう関係なの?」
”仲間に入れてよ”と言いたげに、今まで黙って私と瀧のやりとりを見ていた茉央ちゃんが口を開いた。
「あ、紹介するね。このうるさくてサルみたいなのは、同じ大学で学科も一緒の、瀧本伊織。みんな瀧って呼んでる。で、こっちは高校からの大親友、片瀬茉央ちゃん。ちなみに彼氏持ちだから手ぇ出さないでよね!」
「だから、俺をなんだと思って……」
「なるほど。2人同じ学校なんだね。よろしく、瀧くん」
「よろしく」
ニコッと可愛い笑顔を出し惜しみせずに、瀧に向けた茉央ちゃんに、瀧も軽く言葉を返す。