南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
「消せねぇよ。佑麻との記憶は、なにひとつだって失くしたくねぇ」
「……よかったぁ〜……。もう、婚約破棄かと思った」
安心したら、涙がポタポタと頬を伝っていく。
瀬那のシャツにシミを作ったらいけないと、少し離れようとした私の頭を、瀬那が離さないとばかりに抱え込むから、もう無駄な抵抗はやめた。
「怖かったのは俺の方だっつーの。なんで無駄にモテるかな。佑麻のくせに」
「っな!ちょっと今のは悪意が」
「お前は俺のだから。他に愛想振りまかなくていいんだよ」
そんな言葉と共に、クイッと顎を持ち上げられてそのまま触れるだけのキスが降る。
一度離れて、また確かめるように角度を変えて。
「せ、瀬那!!人が見て……んっ」
慌てて離れようとする私の小さな抵抗なんて、今の瀬那にはどうでもいいらしい。
すぐに捕まって、今度はもっと深く私の中へと入ってくる。
久しぶりのキスは、ドキドキしすぎてまるで酔いが回ったみたいにふわふわする。