南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )


もう限界ってところで、タイミングよく私に酸素を与えて。


「せ……っ、」


名前すら呼ばせてもらえないまま、また塞がれる。
やっぱり”キス魔の南くん”は、あの頃のまま。

変わったようで、私ち、何も変わらないね。



「は、……」


やっと離れていく唇を目で追いかける。
相変わらず薄くて形のいい唇はキスの名残りで艶めかしく湿っている。


息切れひとつしていない瀬那に、私ばっかり!って思うのもそう言えばいつものことだったな……なんて思い出して、ゆっくり視線をあげれば、色っぽい瞳に射貫かれた。



「全然、足んねぇ」



ガシガシと髪の毛をぐしゃぐしゃにしながら、どうやら理性とやらと格闘している瀬那を愛おしく思う。


瀬那が求めてくれる。
恥ずかしいけどやっぱり、すごくすごく嬉しい。


ずーーっと足りなきゃいい。
もっともっと私を欲しがってくれていいのに。

……だけど、私でいっぱいに満たしてあげたい。


どうしよう、こんな幸せな矛盾は初めてかもしれない。
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