南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
「私、瀬那は佑麻さんを生涯の妻とし、どんなに仕事が忙しくても、 ふたりの時間や記念日を大切にすることを誓います」
言い終えた瀬那が、私を見つめる。
その瞳は優しさで溢れているのに、私にしか聞こえない声で「噛むなよ」なんて意地悪を言うのは相変わらずで。
あれだけ練習して来たのに、緊張で口の中の水分が奪われて上手く誓えるか不安になって来る。
「……私、佑麻は瀬那さんを生涯の夫とし、どんなときでも笑顔を忘れずに、 また、どんなときにも感謝の気持ちを忘れないことを誓います」
震える声。
感極まって泣きそうになるのをぐっと堪えた。
そんな私の腰を抱き寄せた瀬那は、フッと柔らかく笑って私を見つめながら
「一生そばにいて離れないことを誓います」
「っ、」
練習の時点ではなかったセリフを口にした。
……あぁ、もう!こんなアドリブ、私に泣けって言ってるとしか思えないんだけど。
「「私たちはこれからなんでもふたりで話し合い、協力し合って、 笑顔あふれる明るい家庭を築いていくことをここに誓います。20××年6月14日───」」
言い終えて、静かに目を閉じる。
瀬那が近づく気配に、心臓はバクバクで緊張は最高潮。
静かに重なった唇から伝わる瀬那の温もりに、また感極まって泣きたくなる。
私たちは短い誓いのキスに、一生を誓った。