南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
驚きすぎて、元々ない語彙力をさらに失った私の手から風船の紐がするっと手からすり抜けていく。
「わ〜!新婦の佑麻さんがバルーンリリースされました!待っかなハートの風船、どこまでも高く飛んで欲しいですね!さぁ……皆さまも一斉にお手元の風船を飛ばしてください。瀬那さんと佑麻さんに、幸あれ〜!」
司会のお姉さんがタイミングよくバルーンリリースを促してくれたおかげで、私の風船はあまり目立つことなく、それでも1番先陣を切って空高く昇っていく。
本当なら、カウントダウンをして一斉にリリースのはずだったのに。私って本当に……
「バーカ」
自分でも思っていた言葉が、隣から聴こえた。
”バカ”ばかり言われているけど、瀬那の言う”バカ”は、ほかの誰に言われるバカよりも愛を感じるんだから不思議だ。
「バカを好きになった瀬那も、バカだね」
「……あぁ、それもかなり重症のな」
小さく笑いあって、瀬那も風船の紐を放す。
グングン昇っていく風船たちは思ってたよりもずっと綺麗で最高に絵になる。
「すっごい綺麗だね」
満面の笑みで瀬那へと視線を向ければ、いつから私を見ていたのか、瀬那の優しい瞳とぶつかった。