南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )


あぁ。私が何を考えてたのか言わなくてもわかってしまう瀬那が怖い。いや、顔面で語ってたのかと思うと今すぐ近くに見える湖にでも飛び込んでしまいたい。

だけど、とにかく今は……


「あぁあぁ!!!サンキュウ世界!良かった〜〜〜!死んでないし夢でもなかった〜〜!!!」

「……感謝する相手間違ってる」



ウエディングドレスなのに。
花嫁なのに。

私はちっとも成長しない。
だけど、いいんだ。


隣では相も変わらず愛してやまない瀬那が、呆れながらもこんな私を受け止めてくれているんだから。


「なぁ」

「なぁーに♥?旦那様♥」

「……フッ、バーカ」

「えええ?今の流れでどうしてバカ!?」

「他になにがあるんだよ」

「もっと、特別な日に相応しい甘ーい愛の言葉とか」

「ない」

「じゃあ、微糖でも……可」


やや上目遣いに見上げれば、眉間にシワを寄せた瀬那に己の中の審判がイエローカードを掲げた。


いかん!
ここは一旦、引くんだ佑麻!


「なーんっ……、!?」


”ちゃって”


と、続くはずだった私の言葉。


続かなかったのは、不意に私に降ってきた瀬那の影に、言葉ごと唇を奪われてしまったから。
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