南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
「着いたぞ」
瀬那の声に顔を上げれば、見慣れた森坂家。
忙しい瀬那との夢のような時間は終わりを告げた。
「送ってくれてありがとう!勉強頑張ってね!」
名残惜しい気持ちに蓋をして満面の笑みを浮かべて手を振る私を、真顔で見下ろす瀬那にすらトクンと心臓は跳ねる。
重症すぎるぞ、佑麻。
「あ、明日こそちゃんとご飯作るから!だから……」
「ん?」
少し離れた場所に立っていた私は、数歩瀬那へと歩み寄って、瀬那のTシャツの裾をギュッと握る。
「だから、早く帰って来てね?」
遠慮がちに告げた私の言葉に、一瞬瀬那が目を見開いた気がして……重かった?ウザかった?そもそもお前の家じゃねーよって思われた?
そんなことばかり頭の中を埋めつくしていく。
「あ、いや……ううん!ナシ!やっぱ今のナシ!」
慌てて瀬那のTシャツから手を離して、クルッと瀬那に背中を向けた私は、
───ギュッ
「……っ」
「あっさり手振ってみたり、サラッと甘えてきたり。俺の理性試してんの?」
後から強く抱きしめられて、いつもの事ながら思考回路が完全にショート。