南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
伝わってくる瀬那の体温とか、
ドキドキうるさい瀬那の心臓の音とか、
耳元で聞こえる少し掠れた瀬那の声とか。
「佑麻に対しての理性なんて、俺持ってねぇから」
「え……」
「ったく、勉強に集中出来なくなると困るから我慢してたのに」
「わっ」
グイッと腕を引かれて、今度は瀬那の胸の中にスッポリ収まってしまった私を見下ろして
「あんま煽んなよ」
「煽っ……っ」
煽ったつもりなんて微塵もない私は、勢いよく顔を上げて否定しようと口を開くも言葉にすることすら許されずに唇を塞がれて、
久しぶり過ぎてどうしたら良いのか分からないまま、どんどん深くなるキスに身体は火照らされていく。
「っ……はぁ……」
やっとの思いで酸素を吸い込んだ私を、息一つ乱さないまま瀬那がニヤリと笑うから悔しくてムッと頬を膨らませる。
いつもいつも、瀬那ばっかり余裕でズルい。
「そんな顔しても煽るだけだって言ってんだろ」
「瀬那の意地悪」
「さっきのは不意打ちで可愛いお前が悪い」
「……かかかか可愛、可愛いっ!?」
ベッと軽く下を出して意地悪く笑った瀬那に、真っ赤な顔を隠せないままの私。
「また明日な、おやすみ」
ポンポンと私の頭を軽く撫でて私に背を向けた瀬那は、今来た道を1人で帰って行く。
その後ろ姿に叫ぶ。
「瀬那〜〜!!!!大好き〜!!!!」
今でも瀬那は"キス魔の南くん"のままだ。