南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )



「佑麻」


「え?」


「……あんた、人知れず希望のない恋をしてたのね」



え?
希望のない、恋?



「本当。お前みたいなの、到底相手にしてもらえるわけねぇよ」


「うんうん。黙って瀧で我慢しなよ、佑麻」


「おい!我慢ってなんだよ!」


「だって、南 瀬那と瀧じゃ雲泥の差じゃない」



私そっちのけで繰り広げられる2人の会話に、私の脳みそは早くもハテナマークでいっぱい。


なんで私、2人からこんなにも哀れみの眼差しを向けられてるの?


いやいや、むしろ哀しむ要素はゼロ!
だって、


「あの、2人とも勘違いしてない?私と瀬那は婚約してて」



「「……ブッ」」


私の発言に顔を見合わせて吹き出した和葉ちゃんと瀧は、続けて私を馬鹿にする。



「また"夢の話"かよ。5歳児にまで恥ずかしげもなく語ってるんだぜ、コイツ」


「痛い、痛すぎるよ佑麻。冷静になりなって、南 瀬那はいわば2次元みたいなもん!3次元に目を向けてちゃんと好きな人作らないと!ほら、瀧がダメなら合コンセッティングしてあげるからさ!」


「ちょ……夢じゃないったら」


タイミング良く講堂に入ってきた先生に、2人は今のやり取りをすっかり忘れてしまったかの如く講義を受ける姿勢を整えてしまった。


あーーー!!!もう!!!


私、本当の本当に瀬那の婚約者なのにぃぃい!
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