南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
今日から私のライバルはキュウリに決めた!
もう絶対、輪切りを失敗したりしないんだから!!
「ふぅ……頑張ろ」
花嫁修業の道はまだまだ険しいみたい。
朝から家族みんなのお弁当を作って、日中は掃除に洗濯、買い物。夕方にはご飯の支度、お風呂を沸かして、もちろん食後は後片付けだってある。
この他にも、主婦にはやることが山ほどあって。
高校生の時なんかは『専業主婦になりたーい』なんて言ってたけど、専業主婦だって楽じゃないってことこうして花嫁修業をするようになって始めて理解した自分を少し恥ずかしく思う。
───パタン
「……休憩」
色んなことを考えてボーッとしてしまっていたらしい私は、参考書を閉じる音と、瀬那の声に顔を上げた。
「ご、ごめんね?勉強の邪魔して!」
きっと、ご飯の感想をしつこく聞きすぎて集中力切らしちゃったんだろうなぁと、何とも言えない罪悪感に駆られながらも、
もう今日は帰ろう、と近くにあったバッグに手を伸ばした私は
「どこ行く気だよ」
「え……?」
バッグに触れるよりも先に、瀬那の大きな手に捕まった自分の手を見て、思わず目を見開いて固まった。