南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
いつもと違う瀧にどうしたらいいか分かんなくて、口に入ってるサンドイッチはモグモグされることなく、そのまんま。
味なんてもちろん分かんない。
そんな私に瀧が何か言おうと口を動かしたのとほぼ同時、
「佑麻」
すぐ後ろで聞こえた聞き慣れた大好きな声に名前を呼ばれて、私は無意識に勢い良く振り向いていた。
「瀬那……!」
いつも通り少しだけダルそうな顔して私を見つめる瀬那は、ゆっくりと私の側まで来るとイスに座ったままだった私の腕を掴んでフワッと立ち上がらせ、
少しだけ自分へと引き寄せた。
そんな瀬那にとっては特に意味なんて持たないであろう行動でさえ、私の心臓をこんなにも加速させていくんだから、
あぁ、本当に……罪な人だ。
「ちょ!!!!み、南 瀬那!?」
「……マジかよ」
私と瀬那を交互に見て、開いた口が塞がらないとばかりに目を見開く和葉ちゃんと奏。
さっきまで全然気付かなかったけど、食堂内のあちこちから瀬那への黄色い声が聞こえてくる。
本当、悔しいくらいモテモテなんだから。