南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
「……随分 必死だな」
さっきまで黙ってた瀧が、椅子から立ち上がって私の前でピタリと足を止めた。
「まぁな。先に惚れた方が、早く冷めるって聞くし」
瀧の言葉に、フッと笑った瀬那には必死どころか余裕すら感じるし、言ってる言葉の意味は何ら理解できないけれど、
「佑麻は誰にもやんねーよ」
どうやら、今日の瀬那は私を熱々の鍋にぶち込んで、甘い砂糖を大量に投入し、ドッロドロになるまで煮込むつもりらしい。
なに、ジャムか?
私は佑麻ジャムになるのか!?
瓶に詰められて可愛くリボンなんか巻かれて、美味しくできた頃には出荷されるやつか!?
……なんて、考えるくらいに瀬那が甘いんだもん。もう頭沸騰しそう。
「ま、選ぶのはコイツだから。俺、諦め悪いんだよ、わりーけど。毎日 一緒だし、コイツ隙だらけだし、な?」
『俺にも勝算はあるだろ?』なんて続けながら、瀧が私をグイッと引き寄せるから、
「おい」
瀬那の眉間に、それはそれは濃いシワが刻まれたのは言うまでもなく。
……何だかよくわからないけど、見えない火花を散らす2人にハラハラしている私の
「あ〜!!もう絶対 ご飯冷めちゃったよ!!!!」
今日のランチは冷め冷めです。