南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
第3話
婚約者だもん!
***
「って、わけだから。コレ」
「……いや、待って!全然分かんなかった、ごめん、もう1回言って?」
だんだんと増していく暖かさとジメジメした空気。来週にでも梅雨入りを迎えるんじゃないかと思わせる6月に入って数日が経った今日この頃。
「……2度も言わない」
「え、だって瀬那……コレ」
久しぶりにゆっくり出来ると言う瀬那に無理を言って近くのカフェへとやって来た私は、向かい側に座る瀬那を見上げながら瞬きを繰り返している。
瀬那の手には鍵。
それを『佑麻の分』と言って差し出されたのがついさっき。
状況を飲み込めない私はアイスカフェモカを持ったまま口は半開き。
「つまり、瀬那と2人で1つのアパートに暮らすってことでしょうか?」
キラキラ目を輝かせて瀬那を見つめる私に
「あぁ」
「同じ部屋で、同じベッドに寝るってことでしょうか?」
「……お望みとあれば」
完全に面倒くさそうな瀬那。