南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
「あの頃の俺は周りと同じ学生で、ぶっちゃけ佑麻のことすら本気でウザったく思ってたし」
───グサッ
瀬那は色々とオブラートに包んでくれる気はないらしい。なんか、この短時間にすごい心が抉られたよ。
黒ひげ危機一髪なら、1本目の剣で黒ひげぶっ飛んだね。危機一髪どころの話じゃないね、これは。
なんて、意味わかんないことを考えてる間にも瀬那はゆっくり言葉を紡いでいく。
「あの頃は、変にクール気取ってた部分も正直あったし、人との関わりとか特別いらないと思ってた。特に女とかめんどくせーし」
フッと笑って私へと視線を向けた瀬那に、今遠回しに私のこと面倒くさいって言われた気がしたけど……。
いつになく真剣な瀬那の言葉に、何も言えないまま次の言葉を待った。
「でも、今は違う。教師として、人と接することを仕事にしようとしてる」
「瀬那……」
「大学入って、何やりたいか考える中で、何でか分かんねぇけど高校時代の記憶がすげぇ頭の中に浮かんで、結局 あの頃が楽しかったんだろうなって思うようになった」
フッと目を細めて校舎へと視線を向けた瀬那に、つられて私も校舎を見つめる。特別設備が整ってるわけでも、新しい綺麗な校舎ってわけでもない、どちらかと言えば歴史の古い私たちの母校。