南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
慌ててスマホのディスプレイを確認した私は「なーんだ」と、あからさまにガッカリした声をだしてから、
「もしもーし?」
それでも迷うことなく電話に出た。
「おー!俺、今電話へーきか?」
シーンと静まる部屋の中、やけに電話の向こうから聞こえてくる声がうるさく感じでスマホを耳から離しながら眉間にシワを寄せれば、
「実習先への礼状のことで聞きたかったんだけどよ」
と、私の返事なんてサラサラ聞く気のない瀧に呆れてため息すら出なかった。
……ほんっと、瀧と話してると自分のバカさ加減を棚に上げてしまう。能天気って言うのか、なんて言うのか……きっと私よりも遥かにバカだと思う。
いや、そんな土俵で競いたくないけど。
「大丈夫だけど、礼状がどうかした?」
ちなみに礼状って言うのは、つい先月までお世話になっていた教育実習先の保育園へ出す礼状のことで、私はもう終わらせて提出してあるんだ〜♪
なんか、書いてるうちに実習中の色んなことを思い出して、ただの手紙みたいになっちゃった気もしないでもないけど……
そこはほら、ご愛嬌ってやつ。
「あれって、期限とかあった?つーか、何書いた?やっぱ"拝啓"から書き始めんの?あれ、"敬具"だっけ?ん?」
ダメだ、瀧の言葉を聞いてるとこっちまで頭の中ぐちゃぐちゃになるんですけど。