南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )

そんなこと考えていた私の耳に

───ガチャ

玄関のドアが開く音が聞こえて、私は反射的に玄関へと足を動かしていた。


「せ、瀬那!?」


ドタバタとリビングから廊下に出れば、玄関で靴を脱ぐ愛しい人の姿。

良かった……帰ってきてくれた。
てっきり、私に呆れて実家に帰っちゃったのかと思ったなんて、本当に帰られたら困るから口が裂けても言えないけれど。

瀬那に気付かれないようにホッと胸を撫で下ろす。


「おかえりなさい」

「……あぁ」


私の顔を見て小さく返事をした瀬那は、誰が見ても分かるくらい疲れ切っていて、

そんな瀬那を見て、途端にすごく悲しくなった。


「遅かったね、疲れたでしょ?ご飯にしよう!瀬那の好きなハンバーグ作ったんだ」

好きって、結婚ってなんだろう。
これは、ただのマリッジブルーなの?

今日、茉央ちゃんからもらった『瀬那が私を愛してくれている』っていう不確かな自信は、

「……先に食べて寝ててくれてよかったのに」


一瞬でどこかに飛んでいってしまった。

私の目を見るでもなく、ボソッと呟かれたその言葉が、私の心をどんどん冷たくしていく。
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