南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )
私の横をスッ───と、通り過ぎた瀬那に、ついに私の中の何かが音を立てて壊れた。
「結局……」
「ん?」
振り向いた瀬那は、私を見て驚いたように目を見開くけど。今さらそんな顔したって、もう遅いからね。
「……結局、瀬那にとっての私って何なのかな?」
「……佑麻?」
私の異変に気付いた瀬那が、一歩、私へと近づくから、私も同じく一歩後ずさる。
「朝も昼も夜も、毎日すれ違いで会えなくて。たまに瀬那が休みの日は、疲れてるだろうからゆっくりして欲しいなって思うの。……全然ワガママ言えない」
「佑麻」
「本当はデートだってしたいし、一緒にスーパーに買い物だって行きたいし、ただ……一緒に寝るだけでもいいの!」
言いたくなかった、本当のキモチ。
ぜーんぶ隠して、瀬那のこと笑って応援していたかったから。
だけど、やっぱり……私ってね、バカだから。
要領が悪いみたい。
言いたくなかった……なんて言いながら、今、瀬那に知って欲しくてたまらなかったんだってこと、やっと気付いた。