素直になれない
今心の中で考えていた、否定するのに躍起になっていた自分の日向先生への想いを、真柴にあっさり見抜かれて「どうなんだ」と問われて動揺しない方が無理だ。


「一度さ、思い切って過去の恨み言ぶちまけてみたら?」


「へ?」


「これからもずっと職場で一緒に仕事しながら悶々とし続けるわけ?それならいっそのこと、それが恨み言でも恋の告白でも構わないから言ってやればいいのよ。スッキリすると思うよ」


「そんなこと……」


「過去の恋を清算しないからいつまで経っても次に進めないんだよ。あんた浮いた噂の1つも聞かないよ?25の女が過去にしがみついてたり、そのせいで既に枯れてるのって、傍目から見てて相当イタイ」


ズケズケと遠慮なく物申してくれる友人に感謝するべきか、酷いと文句を言うべきか。


すっかり空になったプレートにフォークを置き、コーヒーのお代わりを頼む真柴をジッと見つめた。


「イタイのかな、私」


確かに枯れてるという点は否定しない。


好きな人もいなかったし、誰かと付き合うということもしてこなかった。


それは、過去の恋にしがみついていたわけではきっとないのだと思いたいけれど。

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