素直になれない
願わくば、一生忘れていて欲しいし、忘れてしまいたい。
「……砂、砂ってば」
「へ?」
間抜けな返事に、またしても真柴の呆れた表情が目の前にあった。
「大丈夫なの、あんた。ちょっと顔色も悪い気がするけど……マジで調子悪いの?」
「いや、ない。大丈夫」
片言で返す私に真柴の顔は全然納得してないことが分かる。
だけど、今その事情を話す余裕もない。
後で話しておくか。
一人くらいは事情を知ってくれている人がいれば、楽かもしれない。
そう思い真柴を振り返った直後、狭い出入り口で後ろから地味に押されてしまう。
おわ、危ないしっ。
心の中で思わず声をあげつつ、足取りを気にして部屋の外を目指す。
それでもなんとか無事に広い廊下へ出たところで、急に手首を掴まれて、咄嗟に腕を引いた。
「!?」
釣られてきたのは、誰かの手。
がっしりとした骨太の関節、男性の手。
「……リン、?」
その声にビクッと肩が震える。
「……砂、砂ってば」
「へ?」
間抜けな返事に、またしても真柴の呆れた表情が目の前にあった。
「大丈夫なの、あんた。ちょっと顔色も悪い気がするけど……マジで調子悪いの?」
「いや、ない。大丈夫」
片言で返す私に真柴の顔は全然納得してないことが分かる。
だけど、今その事情を話す余裕もない。
後で話しておくか。
一人くらいは事情を知ってくれている人がいれば、楽かもしれない。
そう思い真柴を振り返った直後、狭い出入り口で後ろから地味に押されてしまう。
おわ、危ないしっ。
心の中で思わず声をあげつつ、足取りを気にして部屋の外を目指す。
それでもなんとか無事に広い廊下へ出たところで、急に手首を掴まれて、咄嗟に腕を引いた。
「!?」
釣られてきたのは、誰かの手。
がっしりとした骨太の関節、男性の手。
「……リン、?」
その声にビクッと肩が震える。