Secret answer ～キミノトリコ～
「悪い男に捕まってない！？」
「え！？」
掴みかかってきそうな勢いで一瞬こちらに身を乗り出してきた先輩に、反射的に上半身がのけぞった。

「エバラスって言ったらチャラい男ばっかじゃないの！」

どういうことなのか聞くより先に、コホンと咳ばらいをして姿勢を正した先輩が言葉を続けていく。
ここは会社だからなのだろう。営業スマイルの穏やかな声色で…だけどそのスピードはマシンガンみたいに速い。

「Ｓ級女とばっかり合コンしてるのよねーあいつら」
「え、Ｓ級女？」
聞きなれない単語が出てきて思わず口を挟んでしまったけれど、そこで先輩の言葉が途切れることはなくて。

「私の友達も泣かされたことあるのよ。あ、好きなアーティストのライブのチケット押さえてもらったときだけは喜んでたけど」
「は、はぁ…」

…ダメだ、ついていけない。
所々理解できないまま話に耳を傾けていると、一通り言い終えたらしい先輩のマシンガントークが止まった。

「…ところで、その彼はどんな人なの？」
「えっと、なんて言ったらいいのか…」

手の中にある紙切れがエバラス？の人の名刺だったらしいことがわかっても、その名前の人物には全くといっていいほど心当たりなんてなかった。
わかっているのは、その裏に記されている電話番号を書いたのが…そーちゃんだということだけだ。
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