Secret answer ~キミノトリコ~
「phaseのファンなの!?」
「…え?」
私を見つめるその瞳は、エフェクトが付いたかのようにキラキラと輝いている。

えーっと、これは…

「こ、この前ネットで見て…素敵だなって思ってて!なので決してファンを名乗れるほどのものでは…」
「そうだったの!?やーんもう!それなら私が教えてあげる!」

…あ、これはやってしまった?

先ほどまでの妙な焦りから一転して途端に思考回路が冷静になり…「もう引き返せない」そんな考えが一気に頭の中に広がった。

実彩子先輩、人が変わってます。
なんて思ったことは、口が裂けても言えないし…

「先輩は、結構前からお好きなんですか?」
「インディーズ時代に路上ライブやってた頃からだから…結構長いわね」

実は彼らのことこれっぽっちも知りませんだなんてことも、いまさらもう、言えるわけもなかった。

それからのランチタイムの話題は、もちろんphaseについて。
というか終始、実彩子先輩のphase愛について聞かされていたのだけれど…

女という生き物は、好きなことを話すとき本当に饒舌になる生き物だと思った。
でも妬みや悪口、噂話をネタにするよりはよっぽど良心的で、聞く側としても気持ちがいい。

だからその時間自体は…思いのほか楽しく過ごした自分がいた。
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