Secret answer ~キミノトリコ~
…けれど。
そんな少しだけネガティブな気持ちは、一瞬でどこかへ消え去ることになるのだった。

照明が落とされて、会場が暗闇と観客の歓声に包まれていく。
そしてうっすらとステージが照らされて、浮かび上がるシルエット。

「…っ」
身体の奥底に響くような音楽と、それに乗せられた綺麗な歌声。
そして一気に明るくなったステージの上に、5人の姿が鮮明になった。

す、すごい…

色とりどりに光を放つ眩いライトを浴びながら、歌い、踊る彼らの姿からは少しも目が離せなくて。

その多彩なパフォーマンスには、一秒たりとも同じ場面なんてなかった。
一瞬一瞬に細かな感情が表現され、まるで1曲ごとに何かのストーリーを見ているかのようで。

「あ…」
そんな刹那、そーちゃんと目が合った気がした。

あれ、私の勘違い…?

だけどそれは一瞬で逸らされて、自意識過剰だったかもしれない自分にかあっと顔が熱を帯びる。

あぁこれが噂の…自分に向けられたと思い込んでしまうやつか。
だけどこれは、勘違いしてしまうのもわかる。本当に自分に微笑みかけてくれたような感覚におちいってしまう。
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