Secret answer ~キミノトリコ~
実彩子先輩と別れてやってきた河原で、ちらっと腕時計に目を向けた。
指定された21時まではあと30分ほど時間がある。
この辺でいいのかな…
「まぁいっか」
どうにかなるだろう…そんな思いにたどり着き、河原に腰を下ろすことにした。
心地の良い風が頬を撫で、目の前には綺麗な月を映した水面が揺れている。
あの言葉が聞き間違いだったらとか、場所を間違えていたら、とか。
あんな場での出来事で相手も相手なのだから、危惧することはいくつもあるはずなのに。
なぜか私の中に不安みたいな気持ちはなくて。
なんならこんなにゆっくり空を見上げたのはいつぶりかな…なんて能天気なことを考えながら、私はその時間が訪れるのを待っていた。
「…ちゃん、みゅーちゃん!」
「ん…っ」
まどろみから抜け出して、ゆっくりと顔を上げる。
あれ…?
「ん?」
「ん?じゃないでしょ。こんなとこで寝るってどんだけ無防備なんだよ」
言葉にされて、自分がうっかり寝てしまっていたことに気が付いた。
「あ、でも鞄はちゃんと抱えてたみたい。ほら」
あははと笑いながらお腹の前に抱えていた鞄を掲げてみせると、目の前の綺麗な顔が呆れたようにため息をつく。